2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧
わたしたちが暮らしているあわただしい日々のなかでは、 人の話を聞くということは、 相手が話し終わるをの待つことにすぎない、 と思っている人があまりに多すぎます。なお悪いことに、相手が話しているあいだ、 わたしたちは話の要点を整理せずに、 自分が…
地震が来たら竹敷に逃げろ、という言葉もあるくらい、竹はほかの木に比べてとても強いんだ。 じゃ、なぜそんなに強いのかと言うと、一つは、地中に深く広くしっかり根を張っているから滅多なことで倒れないということなんだけど、もう一つは何だと思う? そ…
S先生は小学二年生の担任で、クラスは一年生の持ち上がりです。 クラスにA君という脳腫瘍の手術をした子がいて一年生の時はクラスの子達がよく助けてくれました。 運動会や遠足などの行事の時もまずどう助けたらA君が楽しく参加できるかを話し合ったものです…
大学で教鞭をとる先生は、教育の研究調査のために世界各地を訪ねます。 アメリカのフィラデルフィアの郊外にある町では、子どもが三歳になると「私は三歳になりました」と言って、近所の人達に挨拶して回る風習があったといいます。 その子ども達が訪ねてく…
イギリスの動物学者フォックス博士は、特にイヌの研究で有名です。 その著書の中にキツネの子とオオカミの子の比較がのっています。 同じ母親から生まれるキツネの子はみな同じ性質で、すべて攻撃的、自己主張的、探索的だそうです。 ところがオオカミの子は…
数年前卒業したK君は、母一人子一人で、毎朝牛乳配達をして母の家計を助けました。 K君の住む町には今も牛乳配達が続いています。 卒業式の日、挨拶にきたK君に「よく三年間続いたね、途中でやめたくなったんじゃないかな」と私が聞くと、K君の答えはこうで…
私のいとこ一家はアメリカにいます。小学一年の男の子は現地校に入学しました。 最初の授業で、先生は全員に自画像を描かせ、それを壁にはりました。 そこには肌の色の違う雑多な人種の顔が並びました。 人間は一人ひとり違うという認識から教育が始まったの…
Sさんが日課の早朝散歩の帰り道、バス停前の電柱の陰に小柄な老婆がかがみこんで、激しくせきこんでいました。 ぜんそくの持病があるらしく、息もたえだえ、顔面蒼白です。 その時着いたバスから五人の勤め人が降りてきましたが、いずれも老婆をちらっと見た…
山陰地方では交通機関としてバスに頼ることが多く、それは特急バスで起こりました。 突然、前方座席で声がしました。 「なんとか峠の手前のH町で降ろしてもらえんかのう」とガイド嬢に声をかけたのは老人です。 困った表情のガイド嬢は言いました。 「お客さ…
ある会社に「ぐず」と呼ばれる人がいました。太郎という名前なので「ぐず太郎」と呼ばれていました。 本を読んだこともなく、何事をするにもてきぱきできず、皆から「ぐず」「ぐず」とからかわれていました。 ところが、何かのひょうしに、本多光太郎博士の…
S子先生は小学四年生の担任です。 学期が始まってまもなくの放課後、教室の見回りにきたS子先生を見つけたT君が、外から入ってきて、「先生、話があります」と言います。 「なあに?」とS子先生が言うと、急にT君が泣きだしたのです。 「驚いて「どうしたの…
幸せかどうかを決めるのは、環境ではなく、生きる態度である。 ヒュー・ダウンズ 妻と私は、12月に新車を買いました。ちょうどクリスマスに祖母を訪ねるところだったので、飛行機で行くのをやめ、新車の慣らし運転をすることにしました。 車に荷物を積み込…
お隣のデービッドには五歳と七歳になる二人の子どもがいます。 ある日、彼は裏庭で七歳の息子ケリーに、芝刈り機の使い方を手ほどきしていました。 デービッドが向きを変える方法を教えていると、妻のジャンが後ろから彼を呼びました。 デービッドが振り向い…
「ただ今より、ドレイク大学一九七八年度の卒業証書の授与式を行ないます。皆さんは、大学におけるそれぞれの教育課程を無事修了いたしました」 「マイケル・M・アダムス――おめでとう、マイケル。マーガレット・L・アレンおめでとう、マーガレット」 ほんと…
生きる目的をもっている者は、どうにか困難を耐え忍ぶことができる。 ニーチェ 三〇歳のアンリ・デュナンは、スイスきっての裕福な銀行家であり事業家であった。 もしあの出来事がなければ、彼はそのまま人生を全うしたはずだった。だがあの運命の日、一八五…
あらゆるものを奪われた人間にたったひとつ残されたもの、すなわち人間にとって最後の自由とは、自分の態度を決める自由である。 ビクター・フランクル 告白すれば、ぼくは大学一年になってからもまだ、思春期特有の怒りに悩まされていた。 世の中のことはほ…
子どもに虹を見せているあいだ、仕事は待ってくれますが、虹のほうは、仕事が終わるまで待ってくれません。 パトリシア・クラフォード 私は、とても急いでいた。一番いいスーツを着て、今夜の会議の準備にぬかりはないか考えをめぐらせながら、バタバタとあ…