いい話を、子どもたちに!【いい話を集めたブログ】

いい話をたくさん子どたちに聞かせたいと思い、古今東西からいっぱい集めました。寝る前にスマホで読み聞かせできます。大人の気分転換にもどうぞ。

ちょっといい話~大人用~「亡くなっているはずの娘さんから自筆の手紙が届いた」(読了時間:約5分)

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震災直後から、福島県浜通りの方へ通うことが多くなりました。
もちろん会津若松の方にも行くようにしています。
福島全体が辛いのです。

地方に住む眼に障がいがある方が、諏訪中央病院であたたかな若い医師を
育ていつか福島県に送り込んで欲しいと、若い医師の研修のためにたくさんの寄
付をしてくださいました。
ビックリするような額でした。ありがたいことです。

福島県会津若松に講演に行ってきました。
講演が終わり、講演会場で僕の本にサインをしていると、ある中年の女性から
声をかけられました。
「古い本ですけど、サインをしてくださいますか。娘の本棚にあった『がんばら
ない』です」
「いいですよ。喜んで」

「娘はリンパ性白血病で亡くなりました。娘は病気と戦いながら、先生の本を読
んでいたようです。サインをしていただいて、娘の仏壇に手向けたいと思います」
白血病の治療を受けながら、苦しみを僕の本で耐えていたのだ。

ありがたいことです。光栄なことです。

合唱部で活躍していた女の子。高校2年の時に急性リンパ性白血病と診断され
ました。
よく勉強し、友達思いでみんなから好かれていました。
病気との闘いは1年半続きました。途中、大腿骨骨頭壊死が起き、
病気との闘いは熾烈を極めました。
白血病の治療中に抗がん剤と一緒に使ったステロイドが影響したのかもしれません。

高校3年の卒業式を前にした1月1日、娘さんは17歳と10か月の短い命を終え
ました。
亡くなった後、ご両親が放心状態でいる時、なんと友達が娘さんの手紙を届け
てくれました。

亡くなっているはずの娘さんから自筆の手紙が届いたのです。
亡くなる9か月ほど前に、もしものことがあった時に両親に渡してほしいと、
大親友に手紙を預けていたのです。すごい子だな、と思いました。

「お父さん、お母さん、今ままで大切に育ててくれてありがとう。今は父
さんとお母さんがこの手紙を、読まなくてもいいようにと願いながら書いてい
ます。
でも、の手紙を読んでいるということは残念な結果だったんだね。でも、
ここまで自分なりに努力してきたんだから、もう休んだっていいよね。
私は後悔してないよ。
こんな病気になって不幸だって思ったこともあった。
だけど今は全然不幸なんかじゃない。幸せだよ。
だって、たくさんの優しさに出会えたから……。
お父さんとお母さんに愛してもらい続けた娘より」

読んでいて、泣きそうになりました。17歳の女の子がどんな思いで書いていた
のか。自分の万が一の時のために、ご両親に手紙を書いていたなんてすごい。自
分の亡くなった後、両親がどれほど悲しみ苦しむかを、彼女はお父さんやお母さ
んの身になって考えたのだろう。あたたかな優しい子です。
つらく冷え切った心が、慈しみによってあたためられていく。もちろん簡単な
ことではありません。でも、人間だからできることなのです。
優しさやあたたかさは、循環されていきます。

誰かのために生きるのは漠然としています。どう生きたらいいのか見えてこな
い時は、まず、周りにいる大切な人のために生きてみてください。
なんとなくマンネリになっている人間の関係に、もう一度気合いを入れて、子
どものためにとか、夫のためにとか、妻のためにとか、親のためにとか、本当に
好きな人のためにとか、優しさを注ぎ込んでみるのも一つの生き方です。

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「1%の力」鎌田實著 河出書房新社

池田龍三氏「ちょっといい話」より