「他人と比較しないで力一杯生きる」(読了時間:約1分)
イギリスの動物学者フォックス博士は、特にイヌの研究で有名です。
その著書の中にキツネの子とオオカミの子の比較がのっています。
同じ母親から生まれるキツネの子はみな同じ性質で、すべて攻撃的、自己主張的、探索的だそうです。
ところがオオカミの子は同じ母親から生まれても、それぞれ性質が違っていて、ある子は攻撃的であり、別の子は臆病なのだそうです。
キツネもオオカミも両方ともイヌ科の動物なのにどうしてこんなに違うのでしょう。
博士の説明によると、キツネは群れをつくらずに一頭で生きていくので、どれもが攻撃的でなければならないが、オオカミは群れで生きるため、いろいろな性質が必要となるというのです。
獲物を殺す攻撃的なもの、休息中の群れの見張り番をする臆病で用心深いもの、こういういろんなオオカミがいてこそ群れが維持されていくのです。
それでは、私達人間はどうでしょう。
いうまでもなく複雑な群れをつくって生きています。
ですから、社会に生まれてくる一人一人はみな異った個性をもっているわけです。
そしてこのいろんな個性をもつ一人一人は社会の役に立っているわけです。
洋服作りのうまい人、野菜作りのうまい人、料理作りの好きな人、家を建てる人、個性的な人であればあるほど、社会にとって貴重な存在だといえます。
それなのにみな同じでなければ安心できない人が多いようです。
それではせっかく個性をもって生まれてきたのに、その大事な個性を自分の手で押しつぶしていることになります。
個性を伸ばすにはどうしたらよいか。それは自分を他人と比較しないことです。
自分の思った通りに力一杯生きることです
『児童生徒に聞かせたい名言1分話』 柴山一郎著 学陽書房