いい話を、子どもたちに!【いい話を集めたブログ】

いい話をたくさん子どたちに聞かせたいと思い、古今東西からいっぱい集めました。寝る前にスマホで読み聞かせできます。大人の気分転換にもどうぞ。

「一人多い方が必ず綱引きで勝つ」(読了時間:約1分)

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私のいとこ一家はアメリカにいます。小学一年の男の子は現地校に入学しました。

 

最初の授業で、先生は全員に自画像を描かせ、それを壁にはりました。

 

そこには肌の色の違う雑多な人種の顔が並びました。

 

人間は一人ひとり違うという認識から教育が始まったのです。

 

秋の運動会が近づいたある日のことです。先生が校長にこんな話をしてくれました。

 

「校長先生、不思議なことがあるんです。私のクラスは全部で二十一人ですが綱引きをするのに赤白に分けると、十人対十一人になります」

 

「そこで、まず一回めの勝負をしたんです。すると十一人の白が勝ちました。次に一人を赤組の方にうつして勝負をしたら、今度は赤の勝ちでした」

 

「このようにして、何回勝負をしても、十一人になった方が勝つのです。一人の子どもがこんなに大事だと思ったのは初めてです」

 

先生は、この自分の発見に感動しているようでした。

 

校長もこの話を聞いて胸がおどりました。

 

「なんとすばらしいことだ。これは大発見だよ。私は長年教師をしてきたが、こんなに具体的に一人の重みを感じたことはありません。いい話をきいて幸せだったよ」

 

校長はこう言って、大切なことを教えてくれた先生に感謝したのです。

 

そうして、日頃口ぐせのように、一人ひとりを大切に、と言っていることが空念仏にならないように、あらゆる場面で子ども一人ひとりの存在の重さを忘れないように校長は自分に誓ったのでした。

 

『児童生徒に聞かせたい名言1分話』 柴山一郎著 学陽書房