いい話を、子どもたちに!【いい話を集めたブログ】

いい話をたくさん子どたちに聞かせたいと思い、古今東西からいっぱい集めました。寝る前にスマホで読み聞かせできます。大人の気分転換にもどうぞ。

「忘れていませんか?」(親用読み物)読了時間:約7分

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お隣のデービッドには五歳と七歳になる二人の子どもがいます。

 

ある日、彼は裏庭で七歳の息子ケリーに、芝刈り機の使い方を手ほどきしていました。

 

デービッドが向きを変える方法を教えていると、妻のジャンが後ろから彼を呼びました。

 

デービッドが振り向いたそのすきに、ケリーの押す芝刈り機は芝生から飛び出して、花壇を幅六〇センチほど帯状に刈りこんでしまったのです。

 

振り返ったデービッドは、思わずかっとしました。人が羨むこの花壇には、大変な手間と時間をかけてきたのですから。

 

声を荒げて息子をしかり出したそのとき、妻のジャンが足早にやって来ると夫の肩に手をかけて言いました。

 

「デービッド、忘れないでね。子どもを育てているのよ。花を育てているのではないわ」

 

ジャンのその言葉は、子どもの親として、何を一番に考えるべきかを私に思い出させてくれました。

 

形あるものは壊れます。大切なのは、子どもたちとその自尊心を育てることなのです。

 

野球のボールが当たって割れた窓ガラスも、不注意で壊れたランプも、落として割れたお皿も、すべてもう済んでしまったことなのです。

 

花壇の花も、もう刈り取られてしまいました。

 

その上、子どもの精神を踏みつぶし、その生き生きとした子どもらしさを奪うようなことは、避けなければいけません。

 

つぎに、スティーブン・グレンから最近耳にした、有名な科学者の話をご紹介しましょう。

 

この科学者はこれまで、医学分野においていくつもの飛躍的な成果をあげてきました。

 

ある新聞記者が彼にインタビューしてたずねました。

 

「博士のずば抜けた創造力はどうやって培われたのですか?」

 

その質問に対する科学者の答えはこうでした。

 

すべて、私が二歳のときに母から学んだ教えがもとになっていると思います。

 

まだ小さかった私が、大きなミルクビンを冷蔵庫から出そうとしたときのことでした。つるっと手がすべり、ビンがキッチンの床に落ちてしまいました。

 

文字通り、床はミルクの海と化しました。

 

キッチンに入って来た母は、怒鳴りつけてお説教したり罰を与えたりする代わりに、こう言ったのです。

 

「ロバート、はでにやってくれたわね!でも、こんなにすごいミルクの海なんて、めったにお目にかかれないわ」

 

「起こってしまったことはもうもとに戻せないから、このミルクの海でしばらく遊ぶ?後で一緒に片づければいいわ」

 

本当に、私はミルクの海で遊びました。しばらくすると母が言いました。

 

ねえ、ロバート。こんな風にいっぱい汚しちゃったときはね、お掃除してきれいにするものなのよ。スポンジとタオルとモップのどれを使う?」

 

私はスポンジを選び、母と一緒にこぼれたミルクを掃除しました。

 

掃除が終わると、母がまた言ったのです。

 

「いい?さっきはね、小さな手で大きなビンを運ぶじっけんに失敗したってことなの」

 

「さあ、裏庭に行ってビンにお水を入れましょう。どうしたらビンを落とさずに運べるか、ためしてみるのよ」

 

幼い私はこの実験から、大きなビンであっても両手で口のところをもてば、ちゃんと運べることを発見しました。

 

これは何と素晴らしい教えでしょう!

 

この有名な科学者は、これ以来、失敗を恐れなくなったと言います。

 

同時に、失敗とは、何か新しいことを学ぶきっかけに過ぎないのだということも知りました。これこそ科学実験の真髄なのです。

 

もし仮に実験が不成功に終わったとしても、重要な何かを学べるのですから。

 

世の中のすべての両親が、この科学者の母親のように子どもと接することができたら、どんなに素晴らしいことでしょう!

 

最後にご紹介する話は、数年前にポール・ハービーがラジオで語ったものです。今までの話が子どもを対象としていたのに対して、こちらはその成人版と言うところです。

 

ある日、若い女性が仕事を終え、家に帰ろうと車を運転していました。ところが、車のフェンダーを、前の車のバンパーにぶつけてしまいました。

 

この車はショールームから出て二、三日しかたっていない新車だったのです。彼女は泣いてしまいました。この事故のことを、どうやって夫に話したらよいのでしょう?

 

ぶつけられた人は女性に同情してくれましたが、お互いの運転免許証番号と登録番号を書きとめなければいけません。

 

そこでこの女性が、大きな茶色の封筒から書類を出そうとすると、中から一枚の紙が落ちました。

 

それには男らしい字で、「もし事故にあっても......僕が愛しているのは車ではなく、君だということを忘れないで!」と書かれていました。

 

「子どもたちの精神こそ、どんなものより大切だ」ということを、私たちはしっかり覚えておこうではありませんか。

 

花壇に植えたどんな花よりも美しい、自尊心と愛の花を、子どもたちのうちに咲かせるために。

 

ジャック・キャンフィールド

『こころのチキンスープ2』ダイヤモンド社

Jenny ThörnbergによるPixabayからの画像