「人生って」(読了時間:約5分)
人生で大切なのは、お互いにどういう態度で接するかっていうこと。
ハナ・アイバンホー、一五歳
うちの高校では、二年になると女子だけの泊まりがけミーティングがある。人生のこと、それぞれの悩み、学校での心配ごと、友だちのこと、ボーイフレンドのことなどを話し合うのだ。
わたしたちのミーティングは、とても盛り上がった。
わたしはたくさんのことを学んで、元気いっぱいでミーティングから帰ってきた。そのときの資料やメモは、日記にはさんで洋服ダンスの上に乗せておくことにした。
翌週、希望に満ちて登校した。ところが、その週は結局、めちゃくちゃに気分が滅入ることばかりだった。
友だちにはすごく傷つけられるし、母とは喧嘩をするし、成績も心配、とくに国語が頭痛の種だった。
わたしは、ほとんど毎晩、泣いてばかりいた。ミーティングのおかげで、賢く穏やかに過ごせるようになると思っていたのに.........。
金曜日の朝は、起きたときからほんとにいやな気分だった。遅刻しそうだったので大急ぎで着替えをして、洋服ダンスの引き出しから靴下を引っぱり出した。
バタンと引き出しを閉めたとたん、上から日記が落ちてきて、一枚の紙が目に入った。ミーティングのときに班のリーダーが配ってくれたものだ。
「人生って、点数で決まるものじゃない。重要なのは、何人から電話がかかったかでもないし、誰とデートしたかとか、あるいはデートしなかったかでもない」
「それに、誰とキスしたかでもなく、誰とスポーツをしたかでもなく、誰が好きかってことでもない。履いてる靴でもなく、髪の毛でもなく、肌の色でもなく、どこに住んでいるか、どこの学校に通っているかでもない」
「それどころか、じつは成績でも、お金でも、洋服でもないし、どこの大学に入れるかってことでもない。友だちが大勢いるか、それともひとりぼっちかということでもないし、友だちに人気があるかどうかでもない。人生って、そういうものじゃない」
「人生で重要なのは、誰を愛するか、誰を傷つけるかってこと。自分自身をどう感じているかってこと。友だちを裏切らず、憎しみを愛に変えること。嫉妬せず、無知を克服し、信頼を築くこと。何を言うか、何を言いたいかってこと。人が持っているものではなく、その人自身を見ること」
「そして何よりも重要なのは、いまの自分にしかできない方法で人とふれあうために、人生を活かそうと考えること。その選択こそが、人生」
その日、わたしは国語で一番になった。ウィークエンドは友だちと楽しく遊び、好きだった男の子に思い切って声をかけた。
家族と一緒にいて、母ともいろんな話をした。すてきなドレスまで見つけて、夢のように楽しい時間を過ごした。
運がよかったのでもなければ、奇跡が起こったのでもなかった。わたしの気持ちと姿勢が変わったのだ。
ときには静かに座って、人生でほんとうに重要なことについて考えてみるのが大事だ、と気づいたからだ。
たとえば、泊まりがけミーティングで学んだようなことについて。
去年のあの紙はまだ日記のなかにしまってある。人生でほんとうに重要なことを思い出したいときは、いつでも見ることができるように。
ケイティ・ライクト、一七歳
『こころのチキンスープ9』 ダイヤモンド社
(子供用に一部改変)