ちょっといい話「小さなことに大きな愛をこめて」(読了時間:約2分)
「愛は溢れゆく」といわれています。
一人の長距離トラックの運転手が、自分の体験を新聞に投書していました。
「その日、自分は一晩中運転し続けて、あと少しで目的地に到着するはずでした。
朝の七時頃だったでしょうか、目の前を一人の小学生が、黄色い旗を手にして横断歩道を渡り始めたのです」
運転手は疲れもあってでしょう。
いまいましく思い、急ブレーキをかけてトラックをとめました。
ところが、その小学生は渡り終えた時、高い運転席を見上げて、
運転手に軽く頭を下げ、「ありがとう」といったのだそうです。
「私は恥ずかしかった。そして決心したのです。これからは横断歩道の前では徐行しよう。そして、もし道を渡る人がいたら、渡り終わるまで待ち、笑顔で見送ろう」
ほほえみ、優しさ、愛は、このようつながってゆき、溢れてゆくのです。
運転手に笑顔で見送られれた人は、嬉しくなって、多分、言葉も、態度も、その日一日優しくなったことでしょう。
マザー・テレサがいわれました。
「自分がしていることは一滴の水のように小さなことかもしれないが、
この一滴なしには大海は成り立たないのですよ」
さらに、「自分は、いわゆる偉大なことはできないが、小さなことの一つひとつに、大きな愛をこめることはできます」。
小学生の笑顔と、「ありがとう」の一言は、それ自体は小さな行いです。
しかし、それが次の人につながっていって、相手の心を優しく、その優しさが溢れていって、社会に、家庭に、平和を作り出してゆくのではないでしょうか。
「面倒だから、しよう」渡辺和子著 幻冬舎
池田龍三氏「ちょっといい話」より