「ありのままの自分」(読了時間:約3分)
天国に行くと、「どうして、モーゼのようになれなかったのかね?」とは聞かれずに、「ズーシャよ。どうして自分自身になれなかったのかね?」と、言われることだろう。
ラビ・ズーシャ(ユダヤ教律法学者)
僕は小さいときから、自分があまり好きではなかった。
ビリーが僕を嫌いなのは知っていたけれど、彼のようになりたかったのだ。だからビリーの真似をして歩いて、しゃべって、高校も同じところを志望した。
それがいやで、ビリーは変わってしまった。彼はハービーと付き合い始め、ハービーの歩き方としゃべり方を真似るようになったのだ。
おかげで僕の頭はすっかり混乱してしまった。これでは、僕はハービーとそっくりなビリーの真似をしていることになるのだ。
ところが、そのハービーが、実はジョーイとそっくりに歩いて、しゃべっていることがわかった。そしてそのジョーイは、コーキーの真似をしていたのだった。
つまり、コーキーのように歩いて、しゃべろうと頑張っているジョーイのようになりたいと思っている、ハービーの真似をしているビリーとそっくりに僕は歩いたり、しゃべったりしていることになる。
では、このコーキーは、一体誰のようになりたいと思うかい? 世の中にこれほど大勢の人がいるというのに、よりによってこの僕なのだ。
作者不明スコット・シューマンの紹介による
『こころのチキンスープ2』ダイヤモンド社
(子供用に一部改変)
OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像