「キャプテンの仕事」(読了時間:約2分)
一個人に勇気を足したら、それは大多数だ。
出所不明
アメリカのプロ野球チーム・ドジャーズに入団したロビンソンは、歴史上初めての黒人大リーガーになった。
当時のドジャーズのオーナーは、ロビンソンに言った。「覚悟しとけよ。いままで考えてもみなかったような侮辱を浴びるぞ。だが、おまえがやり抜く気なら、おれはとことんおまえを応援するからな」
はたして、オーナーの言うとおりになった。
二塁ベースに走り込んでくる走者に、肉体的な暴力をふるわれるのは毎度のことで、言葉の暴力にもあった。スタンドの観客から、味方チームから、対戦チームから、彼は毎試合、人種差別的なヤジを浴びせられた。
ある日、ロビンソンはいつも以上にひどい目にあった。自分の方向に飛んできたゴロを二度までお手玉してしまったため、球場全体から沸き起こったブーイングが雨あらしのように振りかかったのである。
そのとき、何千もの観客が見守るなか、チームのキャプテンがロビンソンのそばまで歩いていき、試合の真最中なのに彼の肩に手をまわした。
「あれで、ぼくの野球選手としての人生は救われた」。後日、ロビンソンはそうふりかえる。
「あのキャプテンのおかげで、ぼくはチームの一員なんだって感じることができた」
これこそ、キャプテンに課せられた仕事である。もしあなたが経営者だとしたら、従業員に「自分たちは会社の一員なんだ」と感じさせることが何よりも大切だ。
デニス・ウェイトリー
「こころのチキンスープ7」ダイヤモンド社
(子供用に一部改変)
Keith JohnstonによるPixabayからの画像