ちょっといい話~大人用~「自分に声かけする」(読了時間:約3分)
松岡修造氏の心に響く言葉より…
タイガー・ウッズ選手と、幸運にもあるゴルフ大会でいっしょにラウンドしたとき、
彼が、プレー中、常に自分に対する声かけをしていたのを見て、驚いたことがあります。
いい球を打てたときには「ナイスショット!」と堂々と自分をほめ、
ミスショットをしてしまったときは「ネクストタイム!(次はうまくいくさ)」と自分を明るく励ます。
自分の思いを言葉に出し、自分をどんどん盛り上げていく。
こうした「言語化」が、ウッズ選手の強さを支える秘密の一つなのだと思います。
これと似たようなことは身近にもあります。
たとえば、少年野球の試合などで、監督が選手たちに向かって
「もっと声を出せ!」と指示したり、ベンチにいる子供たちに大声で応援させたりしているシーンを、
よく目にするでしょう?
あれは、「ナイスプレー!」「ドンマイ!」などと、
とにかく自分の思いをワーワー声に出していくうちに、
不安や恐れの感情がリセットされていき、気持ちが少しずつラクになるからです。
気持ちがラクになれば緊張もそれほどしなくなり、自分らしいプレーができるようになります。
反対に、黙っていると、モヤモヤした不安や恐れの感情がどんどん膨(ふく)らんでいき、
勝てる試合も負けてしまうことがあります。
言葉にして自分に言い聞かせるということは、けっこう重要なことなのです。
それについて、面白い話を聞いたことがあります。
ダイエットの一つの方法として、食事のあと「ああ、おいしかった!」と
声に出して言うと効果がある、というのです。
もっと食べたい思っていても、満足感を表す自分の言葉が耳から入って脳に届くと、
「満足した」という信号が脳から発せられ、実際に満足してしまうのだそうです。
同じ原理で、睡眠不足の場合にも、朝起きたときに「ああ、よく寝た」と声に出すといいそうです。
脳にはこういうはたらきもあるのですから、みなさんも自分の思いをどんどん言語化してみましょう。
声を出して騒いだり、からだをちょっと動かしたりすれば血流がよくなるので、
脳の活性化にとって悪いはずはありません。
机の前に座ったまま黙然としているよりも、仲間と雑談したり散歩しているときのほうが、いろいろなアイデアが浮かびやすいという経験は、みなさんにもあるはずです。
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『本気になればすべてが変わる』文芸春秋社
池田龍三氏「ちょっといい話」より