ちょっといい話~大人用~「ずっと」(読了時間:約3分)
いつも自分はお母さんと喧嘩ばっかしてた。
いつもお母さんに頼って生きていた自分は、目覚まし時計でおきれず、起こしてもらってるのだが、時々、起こすのが遅い。
そういうときも全部「早くおこさねえのがわりいんだろ!!!」とか言ってた。
お母さんも対抗して「だったら自分でおきなさい!!」とか言って喧嘩。
一回警察に呼ばれたときもお母さんにすげえ怒られたし、家に帰るのが遅いとわざわざ探して友ダチがいるのに帰らせれるし、ぶっちゃけ自分はそんな母親が大きらいだった。
ある日、ちょっと大きい喧嘩をした。
母「何であんたはおにいちゃんと違って何も出来ないの!!!もうちょっとちゃんとしなさい!!」
自「あんたのせいなんだよ!!! 兄ちゃんには、私立行かせるのにウチにはいかせてくれない、いつも仕事でろくに授業参観にもこない!」
自「いつも、ウチを保育園でヒトりぼっちにさせてたのに、母親ずらしてんじゃねえよ!あたしはあんたの事母親だともう思ってねえよ!!!」
「あんたの事、母親だと思ってねえよ!!」
この一言を聞いたとたん、いつもは口うるさいお母さんが黙った。
言い過ぎたかなとは思ったけど、それはそれでもういいと思った。
どうせ愛されてない子供に言われただけなんだから。
そう思った。
すごい勢いで自分の部屋にこもると、少しお母さんのことがきになった。
ちょっと様子をみてみよう・・・
母親が泣いていた。
あんなに強い母が泣いていた。
そして独り言でこんなことを言っていた。
「私のせいだ」
目頭が熱くなった。こんな母親みたことない。
みたくない。
すぐに、部屋にまた戻った。
気分転換にTVでもみようか・・・
おもしろくない、そういえばまだ見てないビデオ録画したのあったな。
そうやって探すと母親の字で自分の名前が書かれたビデオがあった。
なんだろうと思ってみてた。
そこには、
幼い頃の自分が、大事そうに微笑んでる母親の腕の中にいた。
ビデオの中のおかあさんはとてもやさしくて、
なんども自分をビデオに写して、自分の名前を呼んでくれていた。
そしてビデオでこんなことをいっていた。
「大すきよ。多分私の子だから何度も反抗するでしょう。だけど、あなたは私の大好きな子よ。ずっとずっと」
何年間も流してない涙が自然と出てきた。
その日自分はお母さんに「ありがとう」といえた。
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【100人の一歩】
池田龍三氏「ちょっといい話」より