ちょっといい話「ある実験のお話」(読了時間:約3分)
小さな犯罪を犯して逮捕され、刑務所に入れられた人たちに対して行われた、ある心理学の実験があります。
彼らは受刑者たちを二つのグループに分けました。
一つのグループには、砂をある場所から別の場所へ運ぶように命じ、
全ての砂を運び終わったら、彼らはその同じ砂を、元の場所へ再び戻すように言われるのです。
そして、このことを何度も繰り返すよう彼らは命じられました。
もう一方のグループの人たちは、同じように土や石を運ぶように命じられました。
ただし、それは道路を舗装するため伝えられました。
両グループは、同じ時間に同じだけの仕事をするように命じられました。
第一のグループは、とても抑鬱(よくうつ)的で病んだ状態になり、
第二のグループは、とても幸福でエネルギッシュな状態になった。
彼らは同量の仕事を行っていて、ただ土と砂と石を、一つの場所から別の場所に運んでいた
という点については、同じであったにもかかわらずです。
なぜこんなことが起こったのでしょう?
そこに本当の満足があったから―――つまり第二のグループは、意味があって有益なことを行っていたからです。
彼らは、自分たちが人々のためになることをやっていると感じていた。
彼らは道路を作っていました。
そのことが、彼らにとってはとても嬉しく感じられていて、
疲れの程度は第一のグループと同じであっても、精神的には、
彼らは疲れを感じることがありませんでした。
抑鬱的になることがなかったのです。
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「ゆるす」 ウ・ジョーティカ 著 魚川祐司 訳 新潮社
(子ども用に一部改変)
池田龍三氏「ちょっといい話」より