ちょっといい話「器の大きさで「幸せ」は決まる」(読了時間:約2分)
ある年老いたヒンドゥー教の師は、一人の若い弟子が不平ばかり言うのにうんざりしていました。
それである朝、その弟子に塩を買いにいくように言いつけました。
弟子が戻ると、師はコップ一杯の水に、ひと握りの塩を入れて飲んでみなさいと言いました。
「どんな味がしたかな」と師が尋ねました。
「塩辛いです」と言って、弟子は塩水を吐き出しました。
師はクスリと笑い、同じひと握りの塩を持って、弟子を湖に連れて行き、それを湖の中に撒(ま)くように指示し、そして湖の水を飲んでみるよう言いました。
弟子のあごから水がしたたり落ちるのを見て、師は尋ねました。
「どんな味がしたかな」
「真水です」と弟子は答えました。
「塩の味はしたか」
「いいえ」
その答えを聞いて、並んで腰を下ろし、こう諭(さと)しました。
「人生の苦労とは、塩のようなものだ。それ以上でもそれ以下でもない。苦労の量はいつも同じだ。まったく同じなのだ」
「だが、私たちが味わう苦さは、その苦労を入れる器の大きさによって決まる。だから、苦しい目にあったときは、物事を感じる自分の度量を大きくするしかないのだ」
「コップではなく、湖になりなさい」
『「自分を変える」心の磨き方』 マーク・ポネ著 三笠書房
(子ども用に一部改変)
池田龍三氏「ちょっといい話」より