ちょっといい話「五〇〇分の一の奇跡」(読了時間:約2分)
ノーマン・カズンズは、『病気の分析』というすばらしい著書のなかで、自分が長期にわたる大病を克服した体験について述べている。
それによると、彼は“笑い”を利用して奇跡的に健康を取りもどしたという。
”笑い”は彼にとって、生きようとする意志、ふたたび元気になって充実した人生を送りたいという意志を強めるための格好の道具とされたのだ。
カズンズは病室での日々の大半を、笑える映画やテレビ番組、書物に熱中して過ごした。
闘病生活自体が笑いの連続だったともいえる。
そしてこの笑いは、明らかに彼の心理をも変化させた。
病状への悲観的な思いは、笑いによって消し飛んでしまった。
そのため、よく眠れるようになり、痛みも和らぎ、体調もよくなった。
担当医の一人は、当初、全快の見込みは五〇〇分の一だと話していた。
にもかかわらず彼は、最後に完全な健康状態を取りもどしたのである。
最近では、笑いの効能を解明し、カズンズの体験を理論的に裏づけてくれるような研究も進んでいる。
顔の表情が人間の感じ方にどんな影響を与えるかをテーマにしたそれらの研究では、
「人は気分がよいからほほえんだり、機嫌がよいから笑ったりするというより、むしろ笑うから気分がよくなるのだ」
との結論に達している。
「あなたは、いまの自分に握手できるか」アンソニー・ロビンス 三笠書房
池田龍三氏「ちょっといい話」より