いい話を、子どもたちに!【いい話を集めたブログ】

いい話をたくさん子どたちに聞かせたいと思い、古今東西からいっぱい集めました。寝る前にスマホで読み聞かせできます。大人の気分転換にもどうぞ。

「いいぞ、マイキー!!」(読了時間:約3分)

f:id:kkttiiss1036:20190620170029j:plain


何よりの勇気のあかしとなるのは、敗北しても落胆しないことである。

ロバート・グリーン・インガソル

 

昨夜は、八歳の息子が所属するサッカーチームの最後の試合だった。

 

ゲームの終盤、息子のチームが二対一でリードしていた。親たちがフィールドを取り囲み、盛んに声援を送る。

 

残り時間が10秒を切り、ボールは息子のチームメイト、マイキーという子の前に転がった。

 

「キックだ!」フィールドに響き渡る叫び声に、マイキーはぐっと足を引き、渾身の力をこめて蹴った。観衆は総立ちになった。マイキー選手、得点!

 

そのとき、あたりはしんと静まった。マイキーはみごとに点を入れたが、蹴りこんだのは味方チームのゴールだったのだ。

 

試合は同点となって終わった。しばらくのあいだ物音ひとつしなかった。

 

じつは、マイキーはダウン症で、彼にとってはまちがったゴールというものは存在しない。

 

どんなゴールであろうと、決めた選手はマイキーから喜びの抱擁をもって祝福される。

 

彼は、相手チームが得点したときも、その選手を抱きしめてしまうくらいだった。

 

やがて沈黙が破られた。マイキーが満面に喜びを浮かべて、私の息子をつかまえ、ぎゅっと抱きしめて叫んだのだ。

 

「点が入った!ぼくが入れたんだ!やったやった。みんな勝った!みんな勝った!」。

 

私は息子がどう反応するかと息を詰めた。

 

でも心配する必要はなかった。私は涙の奥から見つめていた――片手を高くかかげて、繰り返し賛美の声をあげる息子を。

 

「いいぞ、マイキー!すごいぞ、マイキー!」ほどなく、両チームの全員がマイキーを取り巻いて一緒に叫び、マイキーのゴールを祝福した。

 

その夜遅く、娘にどっちが勝ったのかと聞かれたとき、私は微笑んでこう答えた。

 

「同点だったのよ。みんな勝ったの」

 

『こころのチキンスープ16』ダイヤモンド社

(子供用に一部改変)

7721622によるPixabayからの画像