ちょっといい話~大人用~「驚くことの達人」(読了時間:約3分)
A・マクギニス氏の心に響く言葉より…
デビット・ソークは地元大学の学生部長を引退し、今は年間1000枚以上を撮影する写真家である。
以前私は彼にこう聞いたことがある。
「どうしていつもカメラをもち歩いているのですか?
何か珍しいシャッターチャンスをものにして、それを出版社に高い値で売りつけようというわけですか?」
「いやいや、とんでもない」と彼は答えてこうつけ加えた。
「ものがもっとよく見えるように写真をとるんですよ。
注意深さが足りないと怠慢になって、家の桃の木の新しい花びらにも気がつかなくなるでしょうし、中庭をうろついているトカゲの不思議な色も見落としてしまうでしょう。
カメラを持ち歩くおかげで観察力を維持できるんですよ」
私の妻は「感嘆術」のエキスパートだ。
結婚する以前、私は一度として朝のコーヒーを楽しんだという記憶がなかった。
朝のコーヒーは私にとって単なる目覚まし代わりにすぎなかった。
そしてダイアンに出会った。
彼女は朝3回のうち2回は両手でカップをささげもち、ふくいくたる香りを胸いっぱいに吸い込んでは感激して叫ぶのだ。
「ああ、なんていい香りでしょう。
目覚めの一杯のコーヒーは最高ね!」
積極人間は自分に起こった物事すべてが、毎日毎日よくなっていくとは言わない。
また、人生最悪の日はもう二度と訪れないとも言わない。
いったい、明日がどんな一日になるのか…誰にだってそんなことはわかりっこないのである。
われわれが知っていること…それは、この世の中は欠点だらけであっても、味わったり楽しんだりできる素晴らしい物事にあふれたたいした世界なのだ、ということである。
パブロ・カザルスの一言で締めくくることにしよう。
「感動したり愛したりしているうちは、人は決して年をとることがない」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『今できることから始めよ!』(稲盛和夫監訳)三笠書房
池田龍三氏「ちょっといい話」より