ちょっといい話「しょうもない仕事」(読了時間:約3分)
立ち飲み屋で働いていた時、とても仕事がつまらなくなった時期がありました。
毎日毎日ビールや串カツを運ぶだけ、なんだかくだらない仕事だなぁと正直思っていました。
それが顔や動きにも出ていたのだと思います。
ある日、常連のおっちゃんに突如突っ込まれました。
「兄ちゃん、最近やる気ないな。」
「そんなことないですよ。」
「いいや、見たらわかるで。こんな仕事しょうもないと思ってるやろ。」
「いや、そんなこと…。」
「顔に書いてあるわ。けどな、しょうもないと思う仕事こそちゃんとせなあかんで。
毎日Sさん(立ち飲み屋の先輩)は兄ちゃんに注意しとるやろ。
ということはあんたはまだまだ仕事ができてへんねん。
しょうもないと思ってる仕事もちゃんとできへんちゅうことは、
兄ちゃんもまだまだしょうもない人間やと言うことや。
しょうもない仕事を一生懸命やってできるようになったら、
そこではじめて出世するねんで。」
うーん、悔しいけど何も言い返せない…。
見事な指摘でした。
それから先、仕事をしていてだらけたり手を抜きそうになった時は、
このおっちゃんの言葉を思い出します。
「しょうもないこともできへん奴は、もっとしょうもない。」
ちなみに、この会話には続きがありました。
「おっちゃん、ええこと言いはりますね。ありがとうございました。
ちなみに、おっちゃんは何してはるんですか?」
「わしは東大阪の工場や。金属を加工し続けて勤続(キンゾク)40年!
…笑ってええで…まあ、しょうもない仕事やけど、一生懸命やるのだけは誰にも負けへんな。」
「すごいですね。しょうもない仕事(笑)を一生懸命40年やって!今は出世して偉いさんですか?」
「ずーっとヒラや(笑)」
笑いまで教えてくれたのでした。
『怒られ力』桂福丸著 明治書院
池田龍三氏「ちょっといい話」より