ちょっといい話「『イギリス首相』の座」(読了時間:約2分)
1874年、2人の男が「イギリス首相」の座をめぐって争っていました。
グラッドストンと、ディズレーリの2人です。
1人目のグラッドストンは、大金持ちの息子で、オックスフォード大学を首席で卒業した秀才です。
2人目のディズレーリは、移民の家系で、若い頃は商売に手を出すも破産に追い込まれるなど、
波瀾万丈の人生の末に政治家となった人物です。
投票の1週間前にある女性が、偶然にこの2人とそれぞれ会食することがありました。
メディアは、その女性にインタビューをしました。
「2人の印象はどうだった?」と。
彼女の答えです。
「最初のグラッドストンは、イギリスで一番頭のいい男性ね」と。
そして、
「次のディズレーリは、私が一番イギリスで賢い女性だと思わせてくれたわ」
この言葉をメディアは大きく取り上げました。
そして、その時の実際の選挙ではどちらが勝ったと思いますか?
そう、2人目のディズレーリです。
人々は、「一番あたまがいい」人物よりも、
「一番あたまがいいのはあなた、と思わせてくれる人物」を好んだんですね。
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池田龍三氏「ちょっといい話」より