いい話を、子どもたちに!【いい話を集めたブログ】

いい話をたくさん子どたちに聞かせたいと思い、古今東西からいっぱい集めました。寝る前にスマホで読み聞かせできます。大人の気分転換にもどうぞ。

ちょっといい話「インドの壺」(読了時間:約3分)

f:id:kkttiiss1036:20190730225951j:plainあるインドの水汲み人足は、2つの壷を持っていました。

 
「完璧な壷」と、もう一つは「ヒビ割れた壷」です。
 
彼は天秤の棒の端にその二つの壷を下げ、首の後ろにかけて水を運びます。
 
完璧な壷が小川のほとりからご主人様の家まで一滴の水もこぼさないのに、
 
ヒビ割れ壷は人足が水を一杯に入れてくれても、家に着くころには半分になっているのです。
 
完璧な壷はいつも自分を誇りに思っていました。
 
彼が造られたその本来の目的を、いつも達成することが出来たからです。
 
そしてヒビ割れ壷は、いつも自分を恥じていました。
 
なぜなら、彼は半分しか達成できなかったからです。
 
2年が過ぎ、すっかりみじめになっていたヒビ割れ壷は、
 
ある日川のほとりで水汲み人足に話しかけました。
 
「私は自分が恥ずかしい。そしてあなたにすまないと思っている」
 
「どうしてそう思うのですか?なにをあなたは恥じているのですか?」
 
水汲み人足はヒビ割れ壷に尋ねました。壷は言いました。
 
 「この2年間、私はこのヒビのせいであなたのご主人様の家まで水を半分しか運べなかった」
 
「水が漏れてしまうので、あなたがどんなに努力をしてもその努力が報われることがない。それが私には辛いのです」
 
水汲み人足はヒビ割れ壷のことを気の毒に思い、そして言いました。
 
「これからご主人様の家に帰る途中、道端に咲いているきれいな花を見てごらん」
 
ヒビ割れ壷は、天秤棒にぶら下げられて丘を登っていく時、
 
お日様に照らされ美しく咲き誇る道端の花に気づきました。
 
花は本当に美しく、ヒビ割れ壷はちょっと元気になったような気がしました。
 
でもご主人様の家に着く頃にはまた水を半分にしてしまった自分を恥じて、水汲み人足に謝りました。
 
すると水汲み人足は言ったのです。
 
「きみは道端の花に気づいたかい?花がきみの側にしか咲いていないことに気づいたかい?」
 
「ぼくはきみから水が少しこぼれ落ちることを知ってきみが通る側に花の種をまいたんだ。そしてきみは毎日ぼくたちが小川から帰る時に水をまいてくれた」
 
「お陰でこの2年間、ぼくはご主人様の食卓に花を欠かしたことがないんだ」
 
池田龍三氏「ちょっといい話」より