「ママの髪の毛」(読了時間:約2分)
ぼくの家族の髪の毛は、みんな違う。
パパのは短くて、あんまりたくさんはないけど、でも似合っている。
ぼくの髪は長くて、まっすぐだ。カールさせようとしても、うまくいかないんだ。
ジェフの髪はすてきだよ。濃くて柔らかい。こしがあって、かたちをつけやすい。いまのパパの髪とはぜんぜん違うけど、昔はパパもそうだったって。
だけど、ママの髪、ぼくのママの髪はほんとうの髪とは言えない。
ママはガンになって、髪がなくなってしまったんだ。
でも、また生えてきた。すごく柔らかくてふわふわなんだよ。
手で触ると柔らかくて、ママが抱きしめてくれたとき、顔にふわふわした毛が触ると、とっても安心する。赤ちゃんみたいないい匂い、ママのベッドにもぐりこんだときのお布団の匂いがする。
ママは愛してるって証拠に、背中をさすってくれる。ママに抱かれていると、いやなことも怖いことも消えちゃう。ママの頭をなでていると、魔法のランプをこすっているみたいなんだ。
ママが元気に、幸せになってくれますように、そしてきれいな髪の毛がまた生え揃って、ママがぼくを温かく守ってくれるようにママの頭を守ってくれるといいなと思ってる。
ママの髪は赤ちゃんみたい。ママの心のように温かくて、柔らかいんだ。
ジェイミー・ローゼンタール
「こころのチキンスープ4」ダイヤモンド社
Ingela SkullmanによるPixabayからの画像