「老人と花束」(読了時間:約1分)
ここはある田舎町。
でこぼこ道を走るバスに、やせた老人が花束を大切そうに抱えて座っていました。
向かい合わせに座った少女は、その花束にすっかり心を奪われているようでした。
やがてバスは老人の降りる停留所に着きました。すると、老人は持っていた花束を少女のひざの上にポンと置くではありませんか。
「お嬢さん、ずいぶん花がお好きのようですね。どうぞ、これをお持ちなさい。妻がもしここにいたら、やはり同じことをしたと思いますよ。妻には、私から言っておきましょう.........」
少女は、お礼を言って花束を受け取りました。そしてバスを下りた老人を目で追うと、小さな 墓地の中に消えていったのでした。
ベネット・サーフ
「こころのチキンスープ」ダイヤモンド社
(子供用に一部改変)