いい話を、子どもたちに!【いい話を集めたブログ】

いい話をたくさん子どたちに聞かせたいと思い、古今東西からいっぱい集めました。寝る前にスマホで読み聞かせできます。大人の気分転換にもどうぞ。

「クッキーどろぼう」(読了時間:約3分)

f:id:kkttiiss1036:20190319130210j:plain

女性がひとり、夜の空港で待っていた。

 

飛行機の時間まで、クッキーをひと袋買って、腰をおろした。

 

本を読んで待っていた。ふと気づけば、横にいた男性が、なんと二人の間に置いた袋から、クッキーをつまんでいる。

 

女性は騒ぎを起こすのがいやだったから、知らんぷりを決めこんだ。

 

しかし、あきれたクッキーどろぼうは、クッキーをどんどん食い荒らしてくれる。刻々と時間がたつにつれ、女性のいらいらはつのるばかり、

 

「あたしがこんないい人でなきゃ、ぶんなぐってやるわ!」

 

女性がクッキーを一つ取れば、男性もまた一つ取る。最後の一つが残ったけど、この男性はいったいどうする気だろ?

 

男性はわざとらしく笑うと、最後のクッキーを手に取り、二つに割った。

 

その一つを女性に差し出し、残りを男性は食べた。

 

女性は男性からクッキーのかけらをひったくると、内心思った、

 

「ああ、なんてやつ。この厚かましさ、この恥知らず、ひと言の礼も言わないなんて!」

 

こんなに腹が立ったのは生まれて初めてだわ。

 

飛行機の時間が来ると、ほっとして、「恩知らずのどろぼう」には目もくれずに立ち去った。

 

女性は飛行機に乗り、本をさがした。「あともう少しで読み終わるわ」。

 

しかし、荷物の中を手を入れた女性は、驚いて息をのんだ。なんと自分が買ったクッキーがある。

 

「私のクッキーがここにあるなら……」

 

「あれはあの人のだった、それを私に分けてくれた!」

 

あやまろうにも手遅れだった。

自分こそ恥知らずの、恩知らずの、どろぼうだった!

 

ヴァレリー・コックス

『こころのチキンスープ3』(ダイヤモンド社)より

(子供用に一部改変)